結婚しろ、働け、女子らしさもなくすな?
「一億総活躍プラン」が閣議決定されたのが2016年(平成28年)6月。総活躍という響きはよいものの、「みな外でバリバリ仕事し、キラキラ活躍せよ」とも受けとれるこの言葉が一人歩きすると、何かプレッシャーをかけられているように感じてしまうという方もいらっしゃるかと思います。特に育児中などで仕事を休んでいたり、セーブをしている方はなおさらでしょう。
2016年12月、NHKの「あさイチ!」で「女性のカツヤク」に関する「モヤモヤ」が大きく取り上げられているのを運営人が見たとき、やはりモヤモヤする方は多いんだ、となにか納得した気分にもなりました。
番組中に届いた「結婚しろ、働け、介護もしろ、女子らしさもなくすな、しんどい」といった視聴者の声は、多くの女性の声を代弁したものとも言えそうです。
制度も環境も、人々の意識も、育児しながら仕事することにまるで追いついていない状況で、「みな外でバリバリ仕事しキラキラ活躍すること」を一方的に求められているとしたら、そんなのムリ!という気持ちになるのはごく自然なことと思えます。
この「あさイチ!」の「女性のカツヤク」モヤモヤ特集を見て以来、運営人はこうした「みな外でバリバリ仕事し、キラキラ活躍せよ」と人に感じさせてしまいがちな圧力を「カツヤク」プレッシャーと呼んでいます(本来の前向きな意味の活躍とは違う、という趣旨で、「あさイチ!」と同様、「カツヤク」という表記にします)。
もちろん「活躍を目指すこと」や「活躍すること」、「活躍を応援すること」自体は、とても素晴らしいこと。それと同時に「カツヤクせよ」と人から強制される類のものでもないと思います。
(ちなみに本サイトは「カツヤク」プレッシャーをかけることが目的のサイトではもちろんないです。育Work<育児をしながら仕事>をしている人、したい人のための応援サイトです。それでももし、プレッシャーを感じてしまう方がいたら、運営人の配慮と力不足を申し訳なく思うばかりです。)
人生も価値観も活躍のカタチも人それぞれ
そもそも「活躍=バリバリ外で仕事をする」ことだけなのでしょうか?「カツヤク」プレッシャーの根源とも思える「一億総活躍プラン」ですが、同プランの理念の中には次のような内容がかかれています(原文ママ)。
人生は十人十色であり、価値観は人それぞれである。一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、 障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会である。
この内容を読むと、「みな同じように外でバリバリ仕事し、キラキラ活躍せよ」とは言っていないことがわかります。
そうはいっても、「育児と仕事をしっかり両立、キラキラ活躍」しているように見える人をみると、自分も同じように活躍しなければいけないのでは……、と焦ってしまうこともあるかもしれませんね。育児環境や仕事環境が恵まれた人と自分を比べて落ち込んでしまうこともあるでしょう。
そこで、育Workerインタビュー(第2話:実家の支援、給料、夫…隣の芝生と比べてもしょうがない)で、小川明子さんが育Workする際にご自身が心がけていたこととしてお話いただいた、次の内容もご紹介したいと思います。
人生を山に例えると、登っている山は人それぞれだと割り切れば、あまり気にならなくなってきます。
逆に、同じ山を登っていると思うと、近くの人がどこまで登れているか、上手に登れているかが気になってくるものです。すると、「あの人は、私より上のほうまで登れているけど、うちは実家も頼れないしベビーシッターを雇うほどの稼ぎはないし……」と自分がそこまで登れない理由ばかり考えて、どんどん落ち込むばかりです。そんなことを考えている時間があったら、自分の山を登ることに注力したほうが、いい景色だってたくさん見えてくるはずです。
この内容は、(フルタイムで働いている育児中の女性が職場にいるなかで)時短スタッフ職の働き方を選んだ小川さんへの「実家の支援があれば…と思いませんでしたか?」という問いを発端としてお話いただいたものです。
このお話は、育Workをするなかで「亡き母のサポートがあったならば…」とついつい思いがちだった運営人の心に強く響きました。育児環境や仕事環境などを人と比べて嘆いてもしょうがない。自分がおかれている環境の中で、自分なりに一生懸命頑張っていこうと改めて思ったのです。
人生も、価値観も、活躍のカタチも人それぞれ。だからこそ、「カツヤク」プレッシャーなど感じる必要はないのです。そして、1度しかない人生を自分なりに精一杯頑張って、小さくてもたくさんの幸せを感じられたらいいですね。