会社を休む「後ろめたさ」、「気にしないで」の一言が救いに

育Workerインタビュー#4
第4回目となる育Workerインタビューは、ソフトウェアコンサルティング会社のライフ&ワークスで社内エンジニアとして勤務するしょうこさん(仮名)。
現在1歳のお子さんの育児中で、来年には2人目のお子さんの出産を控えているしょうこさんに、育児しながら働くことだけでなく、働きながらの不妊治療、育児しながらの再就職活動など、これまでのご自身のご経験についてもお話いただきました。
聞き手・構成:本サイト運営人 小林麻理

不妊治療で働きながらクリニックに通院

しょうこさんは、ライフ&ワークスに入社される前に、2つの会社に勤務、ご結婚・出産もされています。いま振り返ってみて、ライフ&ワークスに入社されるまでに大変だったことなどはありますか?
大変だったと思うのは、前職時代、会社で働きながら不妊治療をしていたときでのことです。上司には不妊治療のことを言えず、「ホルモンバランスの不調で、病院に指定された日に通院が必要」というふうに伝えていました。

―不妊治療は病院から来院日を直前に指定されることがほとんどですよね。
はい。身体は仕事のことを配慮してくれません。休みの日に排卵してほしいと思っても、そんなふうにはいかないのが大変なところです。
私が通っていたクリニックでは、午前と午後診療があったので、午後診療の一番遅い時間にしてもらい、なるべく(会社を1日休まず)早退で対応するようにもしていました。

また、仕事が遅れることはありませんでしたし、周囲から何か言われる、ということもありませんでした。それでも、会社を休むことへの「後ろめたさ」や周囲の人がどう見ているのかが気になってしょうがない、という気持ちは抱え続けていました。職場で休む人自体も少なかったですから。

有給日数のことも含めて、通院を続けるのは限界があるし、半年間で成果がでなかったらいったん不妊治療は休もうと思っていました。そうしたなかで妊娠し、不妊治療は終えることになります。

面接で「育児を言い訳にするな」と言う企業も

―不妊治療をしながら働くことの難しさを考えさせられます。その後、出産や退職を経て、ライフ&ワークスに再就職されるわけですが、それまでの活動はどのようにしたのでしょうか?
出産後に職業訓練校に通い始めました。近くの認可外保育園が5月にちょうど開設し、運よく入れた、という背景もあります。(申し込みが多い)4月の開園だったら入れなかったかもしれません。
そして職業訓練校に通いながら再就職活動を開始。売り手市場が幸いし、3社から内定をいただくことができました。

―とても順調でしたね。小さいお子さんを育児するなかでの再就職活動ということで、困難なことはありませんでしたか?
育児中ということだけで給与を低く提示されたり、チクチクと嫌味を言うなど気持ちの良いとは言えない面接をされる会社もありました。

たとえば「(職業訓練校に通うのとは別に)資格の勉強をしていないのはなぜ?」という質問をされ、それに対し「育児をしていて(資格勉強の)時間がとれないため」と答えると「育児を言い訳にするな」と言ってきたりするのです。

―最初から入社を拒む理由を探しているようにも聞こえますね。こうした会社もあるなか、嫌な気持ちを引きずらないようにするために心がけていたことはありますか?
この会社の面接の場合は「合否のご連絡はけっこうです」と言って途中退室しました。そして、自分に合うところと合わないところは絶対あるから、合わないところは、「忘れる」ようにしていました。

自分にとって嫌な意見も含め、様々な意見が世の中にはあふれています。仕事にかかわらず育児だって、母乳かミルクかなど…様々な意見がありますよね。そうしたすべての意見を全部、消化しようとしていたら、体はいくつあってももちません。だからこそ、ときには「聞き流す」ことも大事だと考えています。

家電をフル投入!水回り掃除は代行サービスで

―たしかに、自分にとって「合わないところ」のことを考えていても気持ちは後ろ向きになってしまいますね。その後、しょうこさんは、ライフ&ワークスに入社。育児しながら仕事するうえで、家事など普段どのような生活上の工夫をしていますか?
便利な家電類はフル活用しています。自動掃除機のルンバ、ブラーバ、食洗器、ドラム式乾燥機付き洗濯機、調理ではヘルシオのオーブンとホットクック、それにスマートスピーカーなど……。

いちばん便利だと思うのは、ドラム式乾燥機付き洗濯機ですね。おしゃれ着以外は乾燥までおまかせ。タオルもカラっと乾きます。次はヘルシオのオーブン。15分くらいで、夕飯がささっと作れます。

その次はスマートスピーカーです。Amazon EchoとGoogle homeを計4台、家中に配備し、エアコンやテレビなどスマートスピーカーにつないで、リモコンがわりに利用しています。うちの子がリモコンを見ると「アンパンマン見る!」といってきかなくなるので、リモコン自体を隠してしまい使わないようにしたのです。それ以外にも、音楽をかけたり、ニュースを聞いたり、重宝しています。

こうした家電については、「おしみなく投資する」ということで主人とも合意しているので、考えうるものはほとんど導入している、というわけです。

そして、家電がやってくれない水回りの掃除は「イエキーピング」という家事代行サービスを利用しています。台所やお風呂、洗面所、トイレなどの掃除に限定して、1回3,500円程度でお願いできます。こうした家電やサービスのお陰で、家事について大変!と思うことはずいぶん少なくなりました。

子どもの発熱で1週間の休み…つのる後ろめたさ

―本当に様々な家事の効率化を徹底されていますね。私も真似したいです。逆に育Work生活で大変に思う事はありましたか?
当社に入社したあとも、子どもの発熱で休まなければいけないときには、やはり「後ろめたさ」を感じて、周囲の目がとても気になってしょうがない、という頃がありました。突発性発疹や手足口病などの感染症にかかり、1週間くらい休まなければならない、という時期は、なおさらでした。

―なにか気持ちが変わるきっかけというのはあったのでしょうか?
はい。休みの連絡をしたときに、「気にしないでください」とマネージャーがかけてくれた一言には、救われました……。また、会社の先輩に相談した際に「(ライフ&ワークスが様々なライフステージにある従業員が働けることをかかげて設立された会社であることをふまえて)そのためにつくった会社だよ」と言ってもらえたことも大きかったです。

その後、私の他にも育児中の社員がいることもあり、今年9月には会社でテレワーク勤務制度が整いました。とはいえ、テレワーク勤務の前例がなく気軽には申請しにくいかと思いきや、「テストケースとして遠慮なく申請して欲しい」と言ってもらい、今は週2日の目安で在宅勤務しています。

―ずっと、後ろめたさを抱えていたなかで、気持ちを察してくれたのは嬉しいですね。
本当に、ありがたいことです。その後、2人目を妊娠してつわりが大変で休むことがあり、再び、後ろめたさを感じることはあったのですが、そのつど、会社の方々に温かい言葉をかけていただき、乗り越えることができました。改めて感謝しています。

―現在(取材時)妊娠8カ月、ご出産も間近ですね。
はい。そして出産後、子どもが2人になったら、またこれまでと違った大変なことも出てくるとは思います。それても、いまと同じような気持ちで働き続けていきたいと思っています。

#インタビュー中、それまで感じていた後ろめたさと、状況を受け入れてもらえるありがたさ、両方の深い気持ちが伝わってくるとともに、お互い様で相手を思いやる気持ちが、職場内外で広がるといいな、と改めて思いました。インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

※ライフ&ワークスの制度に関する記事(運営人執筆)を、JBPressにて公開しています。
◎ITコンサル会社の多様な人材活用への挑戦
前編:作業データと生産性で時短・週4日社員も公平に評価
後編:「環境満足度」の追求が生んだ社員の公平な評価制度

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ABOUTこの記事をかいた人

小林麻理

ビジネスコンテンツライター、社会保険労務士、本サイト運営人。企画・編集オフィスライト(https://officewrite.wordpress.com)、社労士事務所ワークスタイルマネジメント(https://workmanage.net)代表。1978年千葉県生まれ。2000年早稲田大学法学部卒業、NTTデータ入社。2003年に出版社(商業界)に転職、その後、翔泳社を経て、2013年3月に独立。現在、3歳の娘の育児中。