つわりのときは?社労士がイチから解説、出産&育児制度(4)

社労士がイチから解説、出産&育児制度(4)
赤ちゃんを授かったら嬉しい!と思う一方で、仕事はどうしよう…と不安に思われている方も多いかもしれません。「社労士がイチから解説、出産&育児制度」では、会社員の方が妊娠・出産したときの手続きや育児休業に関して、将来、育Workをしたい育子さんの疑問にこたえるかたちで、社会保険労務士がわかりやすく解説します。第4回は、妊娠中の制度について。通院休暇や母性健康管理指導事項連絡カードなどについてお伝えします。
第1回:育休の条件は?
第2回:産休の条件は?
第3回:出産費用は?
育子
こんにちは!育子(いくこ)です。出産や育児に関する制度について、わからないことをどんどん聞いていきたいと思います。
広江先生
みなさん!こんにちは。この記事を担当する社会保険労務士の森広江です。
「社労士がイチから解説、出産&育児制度」では、これまで働く方が妊娠・出産したときの休業制度や各種手当についてお話してきました。今回は妊娠中に利用できる制度についてです。

妊娠中に利用できる休暇

「通院休暇」制度とは?

育子
産前産後休業や育児休業、出産費用に関する制度についてはだいぶわかってきました。でも出産前もつわりがあったり、検診が定期的にあるんですよね。
これから定期的に検診へ通うことになると、お仕事をお休みしなくてはいけないのですがその場合どうしたらよいでしょう?
広江先生
年次有給休暇を使って休むこともできますが、妊娠中の検診で仕事を休まなくてはいけない場合は「通院休暇」を使うこともできます。
この通院休暇は、保健指導または健康診査を受けるため休暇をとることができる制度です。時期によって次表のとおり、回数が決まっています。
妊娠から出産までの期間、医師等が上記と異なる回数を指示した場合、会社が確保しなければならない通院休暇は、その医師等が指示された回数となります。

「通院休暇」制度の手続き

育子
それではどうやって利用することができますか?
広江先生
手続は事前に会社へ申請すればOKです。通院休暇は妊娠中の方と産後1年以内の方が利用することができます。ただし、通院休暇が有給休暇となるか無給休暇となるかは会社の規定により異なります。
MEMO:妊婦検診の頻度は?
妊婦検診については、病院にもよりますが、厚生労働省が標準的な妊婦検診のを公表しています。これによると、妊娠初期~23週が4週間に1回、妊娠24週~35週が2週間に1回、妊娠36週~出産までが1週間に1回となっています。つまり、通院休暇はこの標準の回数をカバーしていると言えますね。

妊娠中の体調不良に対応する制度

法律で定められた対処とは?

育子
妊娠中体調の変化があった場合これまで通りのペースで仕事を続けられるか、不安もあります。そのような時、なにか会社へ伝えた方がよいでしょうか。
広江先生
そうですね。妊娠すると、つわりが始まったり、これまでのように体調を保つことが難しい場合もありますよね。
まずは、お医者さんに体調についての相談をしましょう。指導を受けた場合、そのことを会社へ伝えることで、会社はお医者さんの指導に従って必要な措置をしなければならないことが、法律で定められています。例えばこのようなケースがあります。

  1. 妊娠中の通勤緩和(時差出勤)など
  2. 妊娠中の休憩時間の延長、休憩回数の増加、休憩時間帯の変更など
  3. 妊娠中や出産後の作業の軽減、勤務時間の短縮、休業などの対応など
※男女雇用機会均等法。その前に説明した「通院休暇」も、同法によって、事業主にその確保が義務付けられているものです。

「母性健康管理指導事項連絡カード」とは?

育子
お医者さんの指導をどのように伝えればいいのでしょうか?
広江先生
お医者さんからの体調についての指導を会社へ伝える方法として「母性健康管理指導事項連絡カード」を利用することもできます。

カードの様式はここからダウンロードできます。受診時にお医者さんに記入してもらい、会社に提示しましょう。(お医者さんで母性健康管理指導事項連絡カードを記入してもらう際、発行費用が別途かかります。病院によって発行費用の額は異なるため、気になる方は料金を確認してから記入をお願いするようにしましょう。)

育子
まずは、通院のためのお休みが必要なことやお医者さんからの指導内容などを私から会社へ伝えることから始まるんですね。
広江先生
はい。これまで解説してきたように、出産&育児に関する制度はさまざまなものがあります。会社の方へも自分から伝えるべきことは、きちんと伝えて、制度を適切に利用できるとよいですね。

ABOUTこの記事をかいた人

森 広江

モリヒロ社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士。 鳥取県出身。岡山大学大学院農学研究科修士課程修了。食品メーカーで技術職として勤務した後、縁あってメンタルクリニックへ転職。そこで社会保険や労務の仕事に出会い社会保険労務士を目指すことに。資格受験時代は産休職員の代替要員として商社の人事総務部に勤務。現在は「社長も社員も!笑顔の森を広げるお手伝い」をモットーに尽力中。