#3-4 小1の壁は?時短はいつまで?~育Work座談会 キャリア編

育Workerインタビュー#3 育Work座談会 第4話
育Workerインタビュー・第3回は、保険代理店の株式会社フィナンシャル・エージェンシーに勤務する3人の育Workerによる育Workについての座談会。家事、育児、保育園や周囲の支援のこと、仕事やキャリアについて……、育Workをしているうえで、大変なことや悩むこと、その乗り越え方や解決策などについてお話いただきました。第4話(最終話)のテーマは仕事やキャリアについてです。

#3-1 掃除 洗濯 料理はいつどうやって?~育Work座談会 家事編
#3-2 寝かしつけ、トイレ、宿題は?~育Work座談会 育児編
#3-3 最初は預ける事に躊躇も?~育Work座談会 保育園/支援編

聞き手・構成:本サイト運営人 小林麻理

●黒澤みきなさん・カバー写真/右
1984年生まれ・東京都出身。保険代理店を経て2008年入社。営業部などを経て現在はアフターフォローを担う保全業務の責任者。9:30~17:30の時短勤務中。子供は小学校2年生(男の子)と5歳(女の子)。
●生野佳澄さん・中央(0歳の息子さんとともに)
1987年生まれ・北海道出身。2010年入社、営業部などを経て2017年からコンプライアンス部門の責任者。現在2回目の育休中で、育休前は9:30~18:00のフルタイム勤務。子供は4歳・0歳(両方男の子)。
●緒方綾子さん・左
1987年生まれ・青森県出身。2010年入社。営業部などを経てシステム課に在籍。9:30~17:00の時短勤務中。子供は4歳(女の子)と1歳(男の子)。

育Work座談会にあたって

―今日はお集まりいただきありがとうございます!私自身も2歳の子の育児中ですので、同じ育Workerとしてお話を伺っていきたいと思います。最初に一言ずつお願いします。

生野さん
現在下の子の育休中で、来年の4月に復帰予定です。スケジュールや生活に関しては、育休に入る前のことをお話したいと思います。
黒澤さん
上の子が小学2年生と当社内では子どもが大きいほうで、育休から復帰したのは、私が最初でした。後輩のためにも、前向きに育児しながら仕事するためのお話ができればと思います。
緒方さん
今年の4月に復帰しました。活躍する先輩の後に続きたいという気持ちとともに、日々、仕事と育児・家事の両立に大変さも感じています。今日は色々とご意見をお聞きしたいです。

平均的な1日のスケジュール

―皆さんから事前にいただいた、平均的な1日のスケジュールをご紹介させていただきます。

小学校の長期休みをどう過ごすか

―最後の話題は仕事やキャリアについてです。黒澤さんは育休復帰の第1号ということで、当時はどのような気持ちでしたか。

黒澤さん
復帰当時は、周囲に育児をしている女性社員がいないことに、不安を感じることもありました。でも、育児しながら仕事をしやすい環境を自分でつくっていけばいいと考えるようになってラクになりました。社員起点で制度を変えていける柔軟性が、当社にはあると思います。
緒方さん
たしかに、黒澤さんが前例をつくっていただいているうえ、育児しながら仕事をしている社員を会社全体で応援してくれていると思います。在宅ワークをはじめ、育児しながら仕事をすることをフォローする環境も整ってきているように感じます。
生野さん
私も、息子の体調が不安定で保育園からの呼び出しがあったときなどは、上司にずいぶんフォローしていただきました。自身の仕事上の工夫としては、TODOリストを作成し、優先順位をつけて業務に取り組むようにしていました。そのことは、引継ぎが必要なときにも役立ちました。
―会社として育Workに対する理解があるのはありがたいことですね。そうしたなかでも、仕事や今後のキャリアについて悩まれることはありますか?
緒方さん
はい。子どもが小学校に入った後のことは、少し不安です。
―いわゆる小1の壁ですね。お子さんが小学生なのは黒澤さんだけですが何か気を付けていたことはありますか。
黒澤さん
はい。小学生になるとたしかにガラリと生活が変わります。そのため、上の子には保育園のときから「小学生になったら、今までと違う。宿題など、やらなければいけないことができるんだ」ということは繰り返し言い聞かせていました。
緒方さん
夏休みなど、長期休みをどうするのかも気になります。私の母親も働いていましたが、祖父母と同居していたので、長期休みも特に問題なく過ごせたという事情があります。
黒澤さん
基本、学童(学童保育)に通っています。長期休みの過ごし方は、学童に入っているかどうかでも大きく違ってくるように思います。学童に通っているのであれば、長期休みもそのまま利用できますから。小学生から働く方も多いため、現在、学童へは保育園以上に入りにくい地域もあるかもしれません。
生野さん
私も学童に入れるかは心配です。
黒澤さん
あとは、実家ですね。この夏も1週間、お世話になりました。
緒方さん
そうですね。青森の実家に、長期休みの際は頼りたいと思います。

働き方や昇格は?キャリア形成に迷うことも

―小学校以降の育Workでは、保育園までとはまた別の視点での支援が大事になってきそうですね。この「小1の壁」にも関連しますが、御社では時短はいつまでですか?また、昇格昇進などに関しては、どのようなルールになっているのでしょうか。

黒澤さん
時短はいつまでが制限、と厳密には決められてはいません。昇格は働き方にかかわらず、立候補したうえで、規定の成果を上げると認められるルールです。私は時短勤務ですが、責任者に立候補してそれに必要な成果を上げられたので、昇格することができました。
―御社では、キャリアに関して自分で選択できる面が大きいようですね。生野さんはフルタイムを選択された理由はどのようなものですか?
生野さん
収入面で選択したというのもありますが、責任者として、部下に仕事を任せて早く帰るというのに抵抗感があったという面もあります。そうした理由で、今後、さらなる昇格への立候補には迷いがあります。
黒澤さん
生野さんがそうした葛藤を抱えているとは知らなかったです。
生野さん
楽観的だと思われがちなのですが、実は、そういうところを気にしてしまうんですよ。私は、考え方が昭和的なのかもしれません。
緒方さん
私も今後のキャリアプランには迷いがあります。部署内の業務情報を共有するなど工夫をして、時短勤務で発生しがちな問題を解決するようにしていますが、対応できる業務量などについては、悩ましいと感じることがあります。
黒澤さん
私は、当社で育児をしながら働いているお母さんたちの時間あたりの生産性はとても高いと感じることが多いです。だからこそそうしたことが評価されれば嬉しいし、私自身も、後輩たちに育児しながら働くキャリアの例を示せればいいなと考えています。

子供が将来やりたい事をやらせてあげたい

―働き方の選択肢があるなかでも、育児しながら自身のキャリアをどうするかは悩むことが多いものですよね。そうしたなか、育Workをしていて良かったと思うことを改めてお話ください。

生野さん
育児だけでない、目標をもって取り組めることがある、という事は良い点だと思います。仕事をしているからこそ、子供と一緒の時間をどうやって密に過ごせるかを真剣に考えるというところもあります。そして、もちろん収入面です。母親も働くことで、子どもが将来やりたいと言う事をやらせてあげられるということは大きいですね。
黒澤さん
私も同じです。生野さんが、意見をまとめてくれた感じです。
緒方さん
はい、私も同感です。ただ、いまは日々精一杯というのが正直なところです。産休育休の期間が人生唯一の休暇期間だったな……と、そう覚悟を決めて働いていこうと思っています。
黒澤さん
緒方さん、その覚悟は素晴らしいけど、これから休暇はとれますよ(笑)!子どもにずっとつきっきりでないといけない、という時間はどんどん減ってくるし、その分、休暇はもちろん、休息もきちんととれるようになれますから。私もいまでは、休みの日は、たっぷり昼寝をさせてもらったり自由時間をもらったりしています。そして、一時期は悩んだイヤイヤや好き嫌い、わがままは子供が成長とともに解決することを、身をもって悟った気がします。
―たしかにそうですね。最後に、今後の育Workについて抱負をお願いします。
黒澤さん
今お話ししたように、子育てが体力的にしんどいのは、長い人生から見ればほんの一時期のこと。だからこそ、後輩たちが子供を産んでからも働きやすくなる環境がつくれるよう、自分自身も頑張りたいなと思います。
緒方さん
私も、黒澤さんの背中を見ながら、育児しながら仕事をする環境を一緒に広めていければと思います。
生野さん
先ほどお話した昇格のことも含めて、これからも悩みはつきないと思います。働いていることで、子供に我慢させることもあるんじゃないかとも思ったりもします。でも子供が大きくなったときに「うちのお母さん、仕事がんばってるじゃん、かっこいいじゃん」と思われるよう、頑張りたいなという気持ちでいます。
―ありがとうございました!今日は、みなさんのお話に共感することや勇気づけられることが多くありました。こうした育Workで大変なことや悩み、乗り越えるコツや解決策を共有することで、私を含め、前向きに育Workできる人が増えるといいなと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

小林麻理

ビジネスコンテンツライター、社会保険労務士、本サイト運営人。企画・編集オフィスライト(https://officewrite.wordpress.com)、社労士事務所ワークスタイルマネジメント(https://workmanage.net)代表。1978年千葉県生まれ。2000年早稲田大学法学部卒業、NTTデータ入社。2003年に出版社(商業界)に転職、その後、翔泳社を経て、2013年3月に独立。現在、3歳の娘の育児中。