育Work Book Reviewの1冊目は、2017年に刊行された『勝間式 超ロジカル家事』(勝間和代著/アチーブメント出版、以下『ロジ家事』)。育児に家事に仕事に頑張る育Workerの皆さんに、ぜひおすすめしたい本です。
このままでは、家事に殺される!?
「家事に殺される前に」ーーなかなか刺激的なこのタイトルは、本書の「はじめに」につけられたものです。育児と仕事だけでも大変なのに、そのうえ家事も以前と同じ方法で完璧にしようと頑張ったら、過労死してしまってもおかしくない、ということです。
本編に入ると、現在の働く母親の状況が、次のように指摘されています。
今、「ワンオペ育児」という言葉が話題になっています。もともと、従業員1人がすべての業務を切り盛りする「ワンオペレーション」から来ている言葉で、母親1人で家事と育児を担うことを指しています。この上さらに、仕事も上乗せされている働く母親の労働状況は、まさしくブラック企業並みでしょう。
こうした「ブラック企業並み」という状況を踏まえ、本書では、勝間さんの仕事のスキルを全力投入、家事を超効率化する基本的な考え方と具体的なテクニックを提示してくれています。ここでは、その基本的な考え方を中心にご紹介したいと思います。
最新家電は分のいい「投資」である
超効率化のベースとなるのが「結果が伴っていない不要な手間は徹底して減らして、必要な手間だけ残す」という考え方です。これはビジネスの世界では「バリュー・イノベーション」というそうです。
この「バリュー・イノベーション(!)」という考えをベースに「ロジ家事」に不可欠なのが、「最新家電」や便利グッズです。ただこの最新家電、イザ購入となると数万円という金額に、二の足を踏む方が多くいるでしょう。諸外国に比べ、日本で調理家電や食器洗い機の普及が進んでいない原因について、勝間さんは次のように分析しています。
高い家電を買っても主婦の仕事を減らしてラクをさせるだけ。もともと普通の鍋やフライパンで仕事を回っているのならば、買う必要はないだろう、という、男性側からの封建的な論調です。現代でもその論調は拭えきれず、働くお母さんの中には『ラクをしちゃいけない』と自らを縛っている人もいるかもしれません。
そして勝間さんは最新家電について「たんなる消費ではなく、かなり分のいい『投資』である」という捉え方をすべき、と強く主張しています。
家電によって家事労働という時間とストレスを減らせば、外部労働や家族団らんの時間を増やせる。家電のために使うお金は、そのための投資と位置付けるべしということです。
こうして家電購入の抵抗感を払拭できたとしても、その金額はやはり気になるもの。そのため、家電購入のスタンスとして「型落ち品で十分である」と言います。
「最新」というのは「最新機種」という意味ではなく、最新家電としての必要機能が備わっていれば十分ということです。たしかに、型落ちになると価格はかなり安くなります。
このスタンスを踏まえ、本書では、調理家電をはじめとした様々な家電が登場します。その種類などは(本ではなく家電商品レビュー記事になってしまうので)ここでは割愛します。家電や本書で紹介されている便利グッズについては、私が実際に購入したものを中心に【別記事(ホットクックにルンバ…『ロジ家事』推薦家電の実力は)(8月公開予定)】で紹介したいと思います。
「家事はここまで効率化していい」と気づける1冊
『ロジ家事』で貫かれているもう1つの重要なテーマといっていいのが、「必要のないものは捨てる」ということです。(なんといっても、家事における「バリュー・イノベーション」ですから!)
それは、物理的なモノだけでなく手間や考える時間も含みます。そして、物理的なモノがなくなると、考える時間や不要な手間も自ずと減る場合が多いため、勝間さんは「断捨離」を強く勧めています。
その範囲は洋服から食器まで広く、かなりの徹底ぶり。なかにはここまでやらなくても…と思われる内容も出てきます。それは本書全般に言えることですが、ときに難易度が高く感じられる内容もあります。
ですから、すべて本書どおりにする必要はありません。家事に対するスタンスや「考え方」を学び、本書で紹介されている家電や便利グッズたちを使いこなすことから始めるとよさそうです。
とにかく家事に忙殺されて毎日がたいへん、という方にお勧めです。家事ってここまで効率化していんだ、と気づくことができるだけでも読む価値があると思います。