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「予防接種」の素朴なギモン
予防接種の種類、なぜこんなに多いの?


それに対し、行政や研究者や様々な人たちの力で、日本で接種できる新しいワクチンが増え、ワクチンで防げる病気が増えてきているのです。
ワクチンのある一つひとつの病気が、どんな病気なのか、もしかかってしまうとどうなるのか小児科学会のホームページに詳しく載っています。参考にしてみてくださいね。
「任意接種」に関するギモン
「定期接種」と「任意接種」はどう違う?


例えば、肺炎球菌やHib、4種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)などが定期接種です。集団予防目的に比重が置かれているので、予防接種を受けるよう努めなければならない『努力義務』とされています。
(肺炎球菌やHibは少し前までワクチンが認可されておらず、たくさんのお子さんが髄膜炎で命を落としてきた病気です。)
任意接種はロタウイルス感染症、おたふくかぜ、インフルエンザなどの予防接種です。
お子さんの周囲の環境や家族の状況により、できれば受けるべき予防接種です。保育園に行く(行っている)のであれば、受けたほうがいいでしょう。自治体によって、補助が受けられる場合もあるので確認してみてください。
高額な「任意接種」はおっくう…だけど


パパ、ママが子供から感染することもあります。
ワクチンはお子さんだけでなく、親、周りの人たちも病気から守ってくれます。
集団生活に入る前に予防接種を受けることで、お互いを感染症から守って、健康な生活を目指したいですね。
特に受けたい「任意接種」は?


ロタ
1歳未満で保育園に行く予定でしたらぜひ!
生後2か月過ぎに1回目(あとからは打てないので早い決断を)です。
保育園では冬から春にかけてロタウィルスによる胃腸炎が増えます。このワクチンがなかったころは、入院になる赤ちゃんがたくさんいました。
ロタは、胃腸炎の中でもたちが悪く、高熱が出て痙攣することもあり、ひどい嘔吐下痢になります。家族にも感染し、パパママも大変です。4歳くらいまでにほとんどの方が感染するのですが、小さい子どもほど重症化します。ワクチンを接種していればかかった時も軽く済むといわれています。
おたふく
「ほっぺが膨らむだけ」じゃないんです。ムンプス難聴(両方耳が聞こえなくなることも)や不妊症の原因になります。
耳が聞こえなくなると、自転車に乗りにくくなったり、平均台などの体育がしにくかったり、つきたい職業につけないなんてこともあります。
いずれも任意ですが2回のワクチン接種でより免疫が強化されます。1歳の生ワクチン(MR、水痘)定期接種時に一緒に1回目を。入学前まで(日本脳炎追加時かMR2回目)の定期接種時に2回目を同時接種して下さいね。
インフルエンザ:生後6か月以降で接種可能
インフルエンザは年により流行の型や程度は異なりますが、毎年冬になると話題になりますよね。ワクチンをうっているとかかった際の重症化が防げます。近年はワクチン不足の年もあったりしますので、10月半ばを過ぎたらかかりつけの小児科で聞いてみましょう。
3種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風):5歳ごろ
小学生の百日咳が増えています。0歳、1歳で4種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)ワクチンを受けていても、5歳ごろには免疫が低下して百日咳にかかりやすくなることが知られています。年長さんのMR接種と一緒に3種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風)の任意接種も受けておくと安心です。本人は長引く咳程度かもしれませんが、周りの赤ちゃんに感染するとその赤ちゃんの命が危険にさらされてしまいます。
日本では予防接種を受けることは個人の選択になっています。死に至ることもある恐い感染症から乳幼児や児童を守るために今、最も確実な方法は予防接種しかありません。大事なお子さんを、恐い感染症から守ることができるのはパパとママの考えと行動です。大人がしっかりと予防接種や感染症について理解し、医師と相談して納得のいく予防接種を受けましょう。
「インフルエンザ」に関するギモン
毎年、ワクチンを打つ必要はある?


インフルエンザはかかってしまうと保育園などは出席停止となり、1週間近く休まなくてはなりません。
お子さんによっては、熱が長引いてもっと休むこともあります。同じインフルエンザ感染でもちょっとした風邪くらいの症状から、熱が全然下がらなくて肺炎も合併してしまい入院というようなケースまで様々です。最悪の場合、痙攣や呼吸不全で亡くなったりするケースまであるのです。
お子さん自身の体調のためにも、休む期間を少しでも短くするためにもぜひ家族みんなでワクチンが接種できるといいですね。
予防接種しても感染?


もちろん流行期にはうつってしまうかもしれませんが、ワクチンを接種すれば軽く済むことが多いです。ワクチンの効き目に関しては、「ホントに効くの?小児科医が答える予防接種のギモン(2)」で改めて解説したいと思います。
「今まで予防接種を受けていなかったけど大丈夫だった。」という方もいると思います。これまでは運がよかったからといって今年も大丈夫かどうかはわかりません。重症化して入院や後遺症となってしまい「あぁ……受けておけばもう少し軽く済んだのかな」といった後悔をしないためにも、しっかりと予防接種を受けたいものです。