子どもの留守番はどうした?パパの育休事情は?~男女・育Work座談会 仕事編

育Workerインタビュー#5 中外製薬②
育Workerインタビュー第5回となる今回は、中外製薬株式会社に勤務する3人の育Worker(育児しながら働いている方)による座談会です。家事や育児、仕事やキャリアのこと……育Workする(育児しながら働く)うえで大変なことや悩むこと、その乗り越え方や対策、前向きに育Work生活を送るために心がけていることなどについてお話いただきました。2つ目のテーマは「仕事やキャリア」です。

カバー写真上:中山輝美さん。医薬安全性本部・安全性リアルワールドデータサイエンス部にて、グループマネージャーとして勤務。子どもは小学3年生(9歳)と年少さん(4歳)の男の子兄弟。
カバー写真下左:森友裕也さん。バイオメトリクス部にて勤務。子どもは小学3年生(8歳)と年中さん(4歳)、4月に生まれた0歳の3人で全員男の子。
カバー写真下真ん中:赤坂麻子さん。関東南統括支店オンコロジー領域専門室にてMRとして勤務。子どもは小学2年生(8歳)の女の子と年長さん(5歳)の男の子。
聞き手(カバー写真下右)・構成:「育Work」運営人/編集長 小林麻理

育Work座談会にあたって

森友さん
妻とともに3人の育児をしています。今日は、キラキラとしたいわゆる「育メン」談ではなく、実際のところをみなさんと話し合いたいと思います。
赤坂さん
こうした企画は女性のみのことが多いので、今回は新鮮だなと思いました。夫とも今日の話を共有しながら、今後の生活にも役立てていきたいです。
中山さん
当社で大勢いる育児しながら働く従業員の1人として、今日はみなさんと育児しながら働くうえでのお話をしながら、私自身も勉強させていただきたいと思っています。

第1回 家事編:家庭での夫婦の分担は?そのコツは?

助けられた、上司や同僚の育児への理解

―2つ目のテーマは仕事やキャリアです。育児をしながら仕事、となると子どもが病気のときの仕事の対応や、勤務時間の制約について悩ましいと思う方はやはり多いですね。

赤坂さん
はい、第1子が一番熱を出す1,2歳の時期、まだ病児保育というものが家の近くにないため、病気になったり、保育園からの呼び出しがあったりした際は本当に悩ましかったです。
―そのお気持ち、よくわかります。どのように乗り切ったのでしょうか。
赤坂さん
上司や同僚と自分の仕事内容を常に共有するようにしていました。特に大勢のお客様の前で製品説明をする機会といったように、絶対に穴をあけることができない、という日には、上司にも同じ日時の予定を空けておいていただき、バックアップ体制を整えるようにしました。「何かあったらみんなでサポートするから、心配せずに働いてほしい」と、上司や同僚が手厚く助けてくれたことに大変感謝しています。
また、看病や急な呼び出しには夫もすぐに対応してくれ、夫婦で一緒に乗り越えてこられたと思います。
中山さん
私は、最初の産休から復帰して仕事の勘が取り戻せたころ、もう少し仕事の幅を広げたいけどもどうしようと思う時期がありました。ただ、当時は時短で保育園からの呼び出しもあるし、そうしたなかで新しい仕事をしたいと思うのは贅沢な事ではないかな、両立はやはり難しいかなと悩みました。
―キャリアと育児の両立は、本当に悩ましいですね。どうされましたか?
中山さん
上司に正直なところを相談しました。上司がそれを理解してくれ、新製品の担当というチャレンジングな業務を任せてもらえました。時短でもなるべく周囲の方に迷惑がかからないようタイムマネジメントを自分自身でも心がけましたが、なにより周囲の方が支えてくださったからこそ、チャレンジできたと思います。皆様には感謝しかありません。

男性の育休取得に一番抵抗があったのは自分?

―森友さんは、第2子誕生の際に5カ月、第3子誕生の際に2カ月、育休を取得されたんですね。きっかけはどのようなものだったのですか?

森友さん
まず妻1人で2人の子どもの面倒を見るのが大変だろうということがありました。第1子誕生の際は、奈良から妻の実親に来てもらっていたのですが、第2子の際は夫婦で乗り切ろうと、育休取得を決めました。妻も夫である自分に手助けしてもらったほうが嬉しいと言っていたことが決意を後押ししました。
―会社の方の反応はいかがでしたか?
森友さん
上司に面談の時間をとってもらい、意を決して育休取得の申し出をしたところ、意外にも2つ返事でOKいただけました。周囲からも「いいんじゃない?」とポジティブな反応をいただき、女性の育休取得者も多かったため「今度は森友さんだね」というふうでした。じつは、男性が一定期間の育休を取得することに最も抵抗感を感じていたのは自分だったのかな、と感じました。育休取得に理解を示してくださった上司や職場のメンバーにはとても感謝をしています。
―育休中はどのように過ごされましたか?
森友さん
育休中は赤ちゃんのお世話というより、主に長男の面倒を見たり家事をする役割でしたが、いい時間を過ごせました。復帰後の仕事へのモチベーションにもなったと思います。

学童や保育園、育Work環境はまだ充分ではない?

―中外製薬さんは、男性の育休取得率が2019年には83.9%(2015年は16.9%)と右肩上がりに増えているとお聞きしました。実際にお話を伺うと男女ともに「育児しながら働くこと」への理解が職場全体で浸透しているように感じます。

一方、日本全体で言えば、2019年度の男性の育休取得率は7.48%(女性は83%)※です。また保育園や学童の数や受け入れ体制などはまだ充分とは言えません。中山さんは保育園の入園に関してご苦労されたそうですね。
厚生労働省2020年7月31日発表「令和元年度雇用均等基本調査結果」より

中山さん
私は、年度途中で引っ越しをした際、行政を通じて申し込む認可保育園の空きがなく、子どもがいわゆる待機児童になってしまいました。事業所内保育所をはじめ他の保育園も必死に探しましたが空きがなく、諦めるギリギリのところで事業所内保育所に急遽空きが出たとの連絡を頂きました。もしあのまま空きがなかったらどうしていたのかな?と今でも思います。仕事は辞めざるを得なかったかもしれません。本当に、綱渡りだったなと思います。
赤坂さん
私の場合、保育園は大丈夫だったのですが、民間の学童が近所になくて困りました。というのも、私が利用している行政の学童は原則、18時まで。当時、19時頃に帰ることが常態化していたので、1時間近く、娘を留守番させなければいけない。私は自営業で祖父母もいる家で育ったため、子どもだけで留守番することに抵抗感や不安があったのです。
―結局、どうされたのですか?
赤坂さん
まず、私のほうは夕方の予定を詰め過ぎず、週2回以上は早めに帰宅するようにしました。そして娘には、小学校にあがる前から帰宅時間が遅くなることを説明し、鍵の開け閉めなど1人で帰る練習もさせ、子ども携帯も持たせました。それでも最初は不安に思う娘から、メールや電話の着信が鳴りやまないという状態でした。幸い、半年ほどで留守番にもすっかり慣れ、問題なく過ごせるようになったことは、本当に良かったです。
中山さん
行政の学童は(低学年の利用が優先されるため)高学年になるにつれて入りづらくなるのが悩ましいです。

―はい、保育園や学童の数や受け入れ体制の問題は個人の力では解決できないので、本当に悩ましいですね。今後より社会の理解が進み、働き方にかかわらず、安心して育児しながら働くための環境や制度ができていくといいなと願っています。さて、次回は、育児についてお聞きしていきます。

第3回 育児編:ゲームの時間は?休校中はどうしてた?
第4回 まとめ:父、母、一人の人間として、育児しながら働く

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ABOUTこの記事をかいた人

小林麻理

ビジネスコンテンツライター、社会保険労務士、本サイト運営人。企画・編集オフィスライト(https://officewrite.wordpress.com)、社労士事務所ワークスタイルマネジメント(https://workmanage.net)代表。1978年千葉県生まれ。2000年早稲田大学法学部卒業、NTTデータ入社。2003年に出版社(商業界)に転職、その後、翔泳社を経て、2013年3月に独立。現在、3歳の娘の育児中。